新しい会社への入社手続き、ワクワクする一方で「源泉徴収票っていつまでに提出するんだっけ?」「前の会社からまだ届かない…」「もし無くしたらどうしよう…」と、急に不安に駆られることはありませんか?
源泉徴収票は、転職後の年末調整(または確定申告)に必ず必要な、非常に重要な書類です。提出が遅れたり、書類が揃わなかったりすると、税金を払いすぎたままになったり、あなた自身の所得税・住民税の手続きに遅れが生じたりする可能性があるため、決して軽視できません。
特に、年の瀬が迫る11月〜12月頃に転職した方は、手続きの期限が迫っているため、焦りを感じているかもしれません。しかし、ご安心ください。提出期限の原則を知り、万が一トラブルが起こった場合の「完璧な対処法」さえ知っておけば、冷静に対応できます。
この記事は、転職時の源泉徴収票に関するあらゆる疑問と不安を解消するために作られた「完全ガイド」です。
この記事を最後まで読めば、以下のすべてが明確になります。
- そもそも源泉徴収票がなぜ必須なのかという基本知識
- 前職から源泉徴収票を受け取れるタイミング(法律上の期限を含む)
- 紛失したり、前職との連絡を避けたい場合の再発行依頼の全手順
- 提出が期限に間に合わない、あるいは提出したくない場合の裏技的解決策(確定申告)
- 源泉徴収票と合わせて準備すべき入社時の重要書類チェックリスト
この一冊で、煩雑な税金・社会保険の手続きの不安から解放され、新しい会社でのスタートに集中できるようになります。さあ、今すぐ正しい知識を身につけて、書類の不安を解消しましょう!
源泉徴収票とは?転職先への提出が「必須」な理由と役割
転職において、単なる証明書と思われがちな源泉徴収票ですが、税金の手続きにおいて極めて重要な役割を果たします。その本質を理解することで、なぜ転職先への提出が「必須」なのか、また提出が遅れるとどのような影響があるのかが明確になります。
源泉徴収票の定義と記載されている重要な情報
源泉徴収票とは、正式名称を「給与所得の源泉徴収票」といい、1月1日から12月31日までの1年間に勤務先から支払われた給与・賞与などの総額(収入金額)と、そこから源泉徴収された所得税の額、そして社会保険料などの控除額が記載された公的な書類です。
記載されている情報の具体的内容
この書類には、以下の3つの柱となる情報が記載されており、あなたの税額を決定する根拠となります。
- 支払金額(年収総額):その会社から1年間に支払われた給与・賞与の合計額です。通勤手当などの非課税の手当は含まれません。
- 給与所得控除後の金額:年収から給与所得控除を差し引いた金額で、税金を計算する基礎となる「所得金額」です。
- 源泉徴収税額:会社が毎月の給与から天引き(源泉徴収)し、国に納めた所得税の合計額です。
これらに加えて、あなたが支払った社会保険料の合計額や、扶養家族の人数といった控除に関する情報も記載されています。特に転職の場合、この「支払金額」と「源泉徴収税額」が、前職でいくらの収入があり、すでにいくら税金を納めたかを示す唯一の公的証拠となります。
また、よく混同されがちですが、退職金が支給された場合は「退職所得の源泉徴収票」が別途発行されます。これは通常の給与所得とは分離して課税されるため、転職先への提出は不要ですが、確定申告で必要になる場合があるため、大切に保管しておきましょう。
転職先が源泉徴収票を求める目的(年末調整との関係)
転職先の企業が源泉徴収票の提出を求める理由は、**新しい会社であなたの「年末調整」を完了させるため**です。
年末調整の仕組み
会社員の場合、毎月の給与から所得税が「源泉徴収」という形で天引きされています。しかし、この天引き額は概算で計算されているため、1年間で最終的に納めるべき税額とズレが生じます。このズレを年末に精算し、払いすぎた税金があれば還付(返金)し、不足分があれば徴収する手続きが「年末調整」です。
中途入社の特殊性
年の中途で転職した場合、あなたは「前職で働いていた期間の収入」と「現職で働いている期間の収入」の両方を合算して、1年間の税金を計算しなければなりません。現職の会社が年末調整を行うためには、以下の情報が必須となります。
- 現職(転職先)での今年の収入と源泉徴収税額
- 前職での今年の収入と源泉徴収税額(←源泉徴収票で確認)
もし前職の源泉徴収票がなければ、現職の会社はあなたの1年間の総収入を把握できません。総収入が把握できなければ、正しい控除(生命保険料控除、扶養控除など)を適用できず、正確な年末調整を行うことが不可能となります。
つまり、源泉徴収票は、税金の過不足なく、正しい税額を計算し精算するための「前職の給与台帳の写し」として機能しているのです。
提出しないとどうなる?確定申告を自力で行う必要性
「前職との関係が悪くて連絡したくない」「源泉徴収票がないまま年末を迎えてしまった」といった理由で転職先に源泉徴収票を提出しなかった場合、または提出が間に合わなかった場合、どうなるのでしょうか。
原則:還付が受けられず、納税が完了しない
源泉徴収票を提出しないと、現職の会社は年末調整を行えません。その結果、あなたは以下のいずれかの不利益を被る可能性が極めて高くなります。
- 税金を払いすぎたままになる(還付金が受け取れない):毎月の源泉徴収額は高めに設定されていることが多いため、ほとんどの場合、年末調整で還付金が発生します。源泉徴収票を提出しなければ、この還付金を受け取る権利を行使できません。
- 納税不足になる可能性がある:年の途中で退職・入社すると、前職と現職で給与水準や控除の状況が変わり、本来納めるべき税額が天引き分より多くなる場合があります。この不足分を放置すると、脱税状態となり、後で税務署から追加納税と延滞税を求められるリスクがあります。
代替手段:自分で「確定申告」をする義務が発生する
転職先に源泉徴収票を提出せず、年末調整を受けられなかった場合、あなたは翌年の2月16日から3月15日までの間に、自分で税務署に対して「確定申告」を行う義務が発生します。
【重要】確定申告の必要性
- 目的:前職と現職の2社分の収入を合算し、1年間の正確な所得税額を計算し、納税を完了させるため。
- 手続き:前職の源泉徴収票と現職の源泉徴収票(現職分は12月または翌年1月にもらえる)を両方揃え、確定申告書を作成し、税務署に提出する必要があります。
確定申告は、会社が代行してくれる年末調整に比べ、手続きが煩雑で手間がかかります。また、税金に関する知識も必要となるため、原則として転職先の会社に源泉徴収票を提出し、年末調整を任せるのが最も合理的で簡単な方法です。
ただし、源泉徴収票がない場合の「確定申告」は、税務上の義務を果たすための重要な解決策であるため、次のセクション以降でその具体的な対処法や提出時期について詳しく解説していきます。
源泉徴収票は「いつ」「どこで」もらえる?発行のタイミングを徹底解説
転職者が最も不安に感じるのが、「源泉徴収票がいつ手元に届くのか」という発行のタイミングです。新しい会社への入社手続きに間に合わせるためにも、前職からの交付時期の原則と、企業ごとの実態を理解しておくことが重要です。
退職者への源泉徴収票交付は退職後1ヶ月以内が法律上の原則
給与や退職金を支払う会社(源泉徴収義務者)には、法律によって源泉徴収票を交付する義務が定められています。年の途中で退職した中途退職者の場合、交付時期について以下の原則があります。
所得税法第226条による定め
中途退職者に対する源泉徴収票の交付は、「退職の日から1ヵ月以内」に行わなければならないと定められています。
この「1ヵ月以内」という期限は、退職者の最後の給与が確定し、税額の計算が完了するまでの期間を考慮したものです。多くの企業は、最後の給与支払い日(最終出社日とは異なることが多い)をもって計算を完了させ、その後速やかに源泉徴収票を郵送します。
実務上のタイミングと注意点
- 最後の給与支払い日後:源泉徴収票は、最後の給与・賞与の金額が確定しなければ作成できません。そのため、最終出社日に手渡しされることは稀で、最後の給与が振り込まれた後に、前職の住所宛てに郵送されるのが一般的です。
- 交付が遅れるケース:人事や経理部門の規模が小さい会社や、退職者が集中する時期(3月、9月など)には、交付が遅れ、1ヶ月ギリギリになることもあります。
- 退職時の確認が鉄則:退職時には、人事や経理部門に対し「源泉徴収票の送付予定日」と「送付先住所」を必ず確認し、転居の予定がある場合は新しい住所を伝えておきましょう。
転職先への源泉徴収票提出はいつまで?年末調整に間に合わせる期限
前職から源泉徴収票を受け取ったら、次に気になるのは転職先への提出期限です。これは、転職先の会社が「いつ」年末調整を行うかによって決まります。
年末調整の一般的なスケジュール
ほとんどの企業では、年末調整の手続きを以下のスケジュールで進めます。
- 10月下旬~11月上旬:社員に対し、年末調整に必要な各種控除申告書(扶養控除等申告書、保険料控除申告書など)の記入を依頼し、源泉徴収票などの必要書類の提出を促します。
- 11月~12月上旬:書類の回収と内容確認、計算作業を行います。
- 12月の給与・賞与:源泉徴収額を最終決定し、税金の過不足を精算(還付または徴収)します。
提出のベストタイミングと最終期限
上記スケジュールから、転職先への源泉徴収票の提出は、入社後すぐ、遅くとも10月下旬~11月上旬までがベストです。期限を過ぎると、給与計算部門の負担が増すだけでなく、あなた自身の年末調整が遅れる可能性があります。
【目安となる最終提出期限】
転職先の企業が年末調整書類の回収を始める11月上旬まで。
企業によっては「入社後2週間以内」など独自の提出期限を設けている場合があるため、入社時のオリエンテーションや提出書類一覧で指定された期限を厳守してください。
12月入社・年末ギリギリの転職の場合の注意点と準備
最も手続きが複雑になり、期限との戦いになるのが、11月下旬以降や12月に転職するケースです。この時期に転職する場合、年末調整の処理に間に合わない可能性が高まります。
1. 転職先で年末調整ができない可能性
12月入社の場合、現職の給与計算はすでに最終段階に入っていることが多く、前職の源泉徴収票を提出しても、現職の会社での年末調整に間に合わないと判断される場合があります。その場合、会社からは「今年の年末調整はご自身で確定申告してください」と指示されます。
2. 前職に「発行時期」を必ず確認する
12月中に退職する場合、前職もギリギリまで最終給与の計算を行っているため、源泉徴収票の発行は年明けになる可能性が高いです。退職時に必ず以下の確認を行いましょう。
- 源泉徴収票の「発行予定日」:正確な日付を聞き、遅れがないか確認する。
- 郵送か電子交付か:紙で郵送される場合は、到着時期を見込んでおく。
- 転職先に提出する旨の伝達:退職時に「転職先の年末調整で必要なので、できるだけ早く発行をお願いしたい」と伝えておくと、スムーズに対応してもらえる場合があります。
3. 間に合わなければ「確定申告」準備へ移行
転職先への提出が12月の中旬以降になり、会社での年末調整が不可能と判断された場合は、潔く翌年の2月16日~3月15日に自分で確定申告を行う準備に入りましょう。この場合でも、源泉徴収票自体は確定申告に必須の書類となりますので、前職から必ず受け取らなければなりません。後のセクション(「源泉徴収票が「間に合わない」場合の解決策」)で確定申告の詳細を解説します。
【対処法】源泉徴収票が「ない」「紛失した」場合の再発行手順
源泉徴収票を紛失してしまった、あるいは退職後1ヶ月を過ぎても前職から届かない。このような状況は、転職手続きを前に進めたい人にとって大きなストレスです。しかし、源泉徴収票は**何度でも再発行が可能**な書類であり、会社には発行する法的義務があります。慌てずに、以下の手順で再発行を依頼しましょう。
再発行依頼は前職のどこ(部署・担当者)に連絡すべきか
源泉徴収票の作成・管理は、主に会社の給与計算や税務手続きを担う部署が行います。連絡先を間違えると手続きが遅れるため、最初に正しい部署へ問い合わせることが重要です。
連絡先の優先順位と依頼時の必須情報
- 最優先:人事部または労務・総務部:これらの部署が、退職者の情報管理や書類発行の窓口となっていることが最も多いです。
- 次点:経理部:特に小規模な会社では、経理部門が給与計算と源泉徴収票の発行を一手に担っている場合があります。
- 最終手段:直属の上司や退職時に連絡を取り合った担当者:正式な窓口が不明な場合は、まず連絡を取りやすい人物に相談し、担当部署へ取り次いでもらいましょう。
【依頼時に伝えるべきこと】
- 氏名、生年月日、在籍期間(何年分の源泉徴収票が必要か)
- 退職した年月日(交付義務の起算点となるため)
- 再発行が必要な理由(「転職先の年末調整で使用するため」と伝えれば、緊急度が伝わりやすい)
- 送付先住所(現住所を確認し、確実に届くように依頼する)
連絡手段は、企業の規定にもよりますが、メールや郵送など、記録が残る方法を選ぶのが望ましいです。特に依頼内容を明確にした文書を残しておくことで、後のトラブルを避けられます。
再発行の依頼文・メールの例文(要点)
件名:「源泉徴収票」再発行のお願い(氏名:山田 太郎)
本文:
〇〇株式会社 人事/経理部 ご担当者様
お世話になっております。元社員の山田太郎(在籍期間:20XX年4月1日~20YY年3月31日)です。
この度、転職先の会社で年末調整を行うにあたり、20YY年分の「給与所得の源泉徴収票」が必要となりました。大変恐縮ですが、再発行をお願いできますでしょうか。
書類は以下の住所へご郵送いただけますと幸いです。(送付先住所:〒XXX-XXXX 〇〇県〇〇市…)
お忙しいところ恐れ入りますが、ご対応いただければ幸いです。
再発行にかかる一般的な期間と即日発行の可能性
再発行は、前職の担当者の業務状況や企業のシステムによって所要期間が大きく異なります。転職先の提出期限に間に合わせるためにも、期間の目安を把握し、早めに依頼することが大切です。
再発行にかかる期間の目安
- 即日~3日程度:源泉徴収票がPDFなどで電子データ化されており、担当者がすぐにアクセスできる環境にある場合。または、退職後すぐに依頼した場合。
- 1週間~10日程度:多くの企業で一般的な期間です。依頼文書の受理、データ検索、印刷、封入、郵送の手続きに時間を要します。
- 2週間以上:担当者が長期休暇中の場合、経理システムが古い場合、または退職から数年経過している場合など。特に退職者が多い年度末などは遅延しやすい傾向にあります。
原則として「即日発行」は期待しないほうが賢明です。依頼の際は、必ず「いつ頃送付予定になりますか?」と納期を確認し、転職先の提出期限を伝えつつ、可能な限り早い対応をお願いしましょう。
【再発行費用について】
源泉徴収票の交付は法律上の義務であるため、再発行手数料を請求されることは原則としてありません。ただし、速達料金や書留料金など、特別な郵送方法を希望する場合は、実費負担を求められる場合があります。
前職との連絡を避けたい・再発行を拒否された場合の最終手段(税務署への相談)
「前職を円満に辞めていないため、連絡を取りたくない」「依頼したが、再発行をなかなかしてくれない」というケースも少なくありません。この場合でも、税務上の義務を果たすための最終手段があります。
1. 会社が再発行を「渋る」または「拒否」した場合
会社は源泉徴収票を発行する義務があり、正当な理由なく交付を拒否することは所得税法違反となります。再三の依頼にもかかわらず応じてもらえない場合は、以下のステップを踏みましょう。
① 内容証明郵便での正式な請求:「〇月〇日までに源泉徴収票を交付しない場合、税務署に相談する」旨を記載した請求書を内容証明郵便で送付します。これにより、会社側は法的措置を意識せざるを得なくなります。
② 税務署への相談・交付請求:内容証明郵便を送っても反応がない場合は、速やかに管轄の税務署に相談してください。
2. 税務署への「源泉徴収票不交付の届出書」の提出
税務署に相談する際は、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。
- 届出の目的:前職が源泉徴収票を交付しない事実を税務署に知らせ、税務署から会社に対して指導・勧告を行ってもらうためです。
- 必要な情報:前職の名称、所在地、あなたの在籍期間、給与額の概算、源泉徴収税額の概算(最後の給与明細などから確認)などが必要です。
- 手続き後の流れ:税務署が会社に連絡を取り、源泉徴収票の交付を指導します。指導後も会社が応じない場合、税務署は調査に入ることができます。
注意点として、この届出を提出しても、税務署が直ちにあなたに源泉徴収票を「発行してくれる」わけではありません。あくまで会社に交付を促す手続きであり、時間がある程度かかることを理解しておく必要があります。
3. 前職との接触を完全に避けたい場合の暫定対応
転職先の提出期限が迫っており、前職との連絡を待てない場合は、以下の暫定対応を転職先に相談しましょう。
- 給与明細書のコピーの提出:源泉徴収票の代わりに、直近1年分の給与明細書や、退職月の最終給与明細書(年間の累計額が記載されている場合がある)のコピーを提出することで、暫定的に手続きを進めてもらえる場合があります。
- 「確定申告を行う」と宣言する:年末調整の期限に間に合わないことを伝え、後のセクションで詳述する「確定申告」を自分で行うことを宣言し、転職先の年末調整手続きから外してもらうという選択肢もあります。
いずれにせよ、源泉徴収票は「ない」ままで済ませられる書類ではないため、再発行依頼から税務署への相談まで、記録を残しながら確実に手続きを進めることが、転職成功の鍵となります。
源泉徴収票が「間に合わない」「提出したくない」場合の解決策
転職先の年末調整の期限までに源泉徴収票が手に入らなかった、あるいは前職とのやり取りを一切避けたい、という状況は、中途転職者には起こりがちです。しかし、税金を正しく精算する義務は免れません。この場合の法的な解決策が**「確定申告」を自分で行うこと**です。
年末調整に間に合わなかった場合の「確定申告」の具体的な方法
転職先の年末調整に間に合わなかった、あるいは転職先で年末調整を行ってもらえなかった場合でも、焦る必要はありません。翌年の所定の期間に「確定申告」を行うことで、源泉徴収票の提出遅れによる問題を解消できます。
確定申告の手続きの流れ(中途退職者の場合)
確定申告は、主に以下のステップで進めます。
- 必要書類の収集:
- **前職の源泉徴収票(必須)**:再発行依頼などで必ず手に入れます。
- **現職の源泉徴収票**:現職の会社から12月または翌年1月に交付されます。
- 各種控除証明書(生命保険料、地震保険料、医療費の領収書など)
- 申告書の作成:
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが最も簡単かつ正確です。
- 作成コーナーで、前職と現職の2枚の源泉徴収票に記載された情報を合算し、各種控除情報を入力して、最終的な所得税額を計算します。
- 申告書の提出:
- 期間:原則として、翌年2月16日~3月15日まで。
- **提出方法**:e-Tax(電子申告)が最も推奨されますが、管轄の税務署へ郵送または持参も可能です。
ポイント:還付申告はいつでも可能
確定申告には、税金を納めるための「申告納税」と、払いすぎた税金の還付を求める「還付申告」の2種類があります。年末調整に間に合わなかった結果、**税金を払いすぎている可能性が高い(還付が発生する)場合、還付申告は翌年1月1日から5年間いつでも行うことができます**。ただし、納税不足の可能性がある場合は、3月15日の期限を厳守する必要があります。
確定申告を行うことで源泉徴収票提出を代替できるケース
確定申告は、単に年末調整に間に合わなかった場合の対処法にとどまらず、**「源泉徴収票を転職先に渡さなくても済む」唯一の代替手段**となります。
提出を避けたい場合に確定申告が有効な理由
源泉徴収票には、前職での「支払金額(年収)」が明確に記載されています。転職活動で前職の年収を偽って伝えたり、現在の会社に知られたくない事情がある場合、この提出を避けたいと考える人もいます。
確定申告を自身で行う場合、転職先の会社はあなたの前職の年収情報を一切把握する必要がなくなります。会社が「年末調整を行わない」という選択をすれば、会社は現職分の源泉徴収票を発行するだけで済みます。あなたは、その現職分と前職分の源泉徴収票を使い、自分で確定申告を行うことで、税務上の義務を完了させられます。
【注意】確定申告を希望する場合の会社への伝え方
転職先の入社手続きで源泉徴収票の提出を求められた際、「今年は確定申告を行いますので、源泉徴収票の提出は不要です」と、人事・総務部門に明確に伝えましょう。
この場合、会社はあなたを年末調整の対象から除外するため、現職分の源泉徴収票を年明けに交付してくれます。これで、あなたは前職の書類を会社に提出せずに済みます。
確定申告が「必須」となる特殊なケース
源泉徴収票の有無にかかわらず、以下のケースでは年末調整は受けられず、**確定申告が必須**となります。
- 給与所得者でありながら、給与以外の所得(不動産、株、副業など)が年間20万円を超えた場合
- 年収が2,000万円を超えた場合
- 退職金について「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合
- 年末調整で適用し忘れた控除(医療費控除、初年度の住宅ローン控除など)がある場合
年内に複数回転職した場合に必要な源泉徴収票の枚数と提出先
同じ年の1月1日〜12月31日の間に、複数の会社(A社、B社、C社など)で勤務した場合、必要な源泉徴収票の枚数と提出先は以下のようになります。
必要な源泉徴収票の枚数
原則として、**その年にもらっていた給与所得に関する源泉徴収票は、すべて必要になります**。
例えば、A社→B社→C社と転職した場合、必要なのは**A社とB社の源泉徴収票**の2枚です。
提出先(年末調整で済ませる場合)
あなたが年末時点で籍を置いている**最後の勤務先(C社)**に、すべての前職(A社、B社)の源泉徴収票を提出します。
- C社がA社とB社の源泉徴収票を受け取り、C社の給与と合算して、1年間の税金を精算(年末調整)します。
- 途中の勤務先(B社)の源泉徴収票を提出し忘れると、B社で納めた税金(源泉徴収税額)が現職の年末調整に反映されず、二重に課税された状態となり、税金を払いすぎたままになる可能性が高まります。
提出先(確定申告を行う場合)
最後の勤務先(C社)に源泉徴収票を提出せず、自分で確定申告を行う場合は、以下の書類を揃えて**居住地を管轄する税務署**に提出します。
- A社、B社、C社の3社すべてから交付された源泉徴収票(計3枚)
- 作成した確定申告書
年内に複数回転職した場合は、書類を揃えるのが非常に煩雑になります。退職する都度、前職の源泉徴収票を速やかに受け取り、紛失しないよう厳重に保管することが、スムーズな転職手続きの鉄則です。
源泉徴収票以外で転職の入社時に「提出必須」な重要書類リスト
転職時の入社手続きでは、源泉徴収票の他にも、あなたの社会保険や税金に関する手続きを滞りなく進めるために、多数の書類提出が求められます。これらの書類には、法律で会社への提出が義務付けられている**「法定必須」書類**と、企業が採用活動や管理のために独自に求める書類があります。ここでは、特に重要な書類と、前職との間で発生する書類の受け渡しについて、網羅的に解説します。
【法定必須】年金手帳・雇用保険被保険者証・扶養控除等申告書
これらの書類は、社会保険の手続きや給与計算において、会社が公的機関への届け出を行うために**法律上、提出が必須**とされているものです。紛失した場合も再発行が可能ですが、入社前に準備しておく必要があります。
1. 年金手帳(基礎年金番号通知書)
- 役割:厚生年金保険の加入手続きに、**基礎年金番号**が必要となります。年金手帳の提示または基礎年金番号の申告は必須です。
- 書類の形態:年金手帳は2022年4月から廃止され、代わりに「基礎年金番号通知書」が交付されています。手帳を持っている場合は手帳を、持っていない場合は通知書または番号のコピーを提出します。
- 紛失時の対処法:居住地の市区町村役場、または年金事務所で再交付の手続きを行います。再発行には通常1ヶ月程度かかるため、入社が決まったらすぐに確認しましょう。
- 企業への提出方法:基礎年金番号を申告書に記入するか、手帳や通知書のコピーを提出します。原本の提出を求める会社はほとんどありません。
2. 雇用保険被保険者証
- 役割:あなたが前職で雇用保険に加入していたこと、および加入期間を証明する書類です。転職先で雇用保険の資格取得手続きを行う際に必要となります。
- 保管場所:前職の退職時に会社から交付されます。通常は、**前職の会社が保管しているケースも多い**ため、退職時に「受け取っているか」を必ず確認してください。
- 紛失時の対処法:転職先の会社が、ハローワークに再発行手続き(「雇用保険被保険者証再交付申請書」の提出)を代行してくれます。あなた自身で手続きをする必要はほとんどありませんが、手続きをスムーズにするためにも、前職の会社名や所在地を正確に伝えてください。
3. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 役割:転職先で毎月の給与から源泉徴収する所得税額(甲欄/乙欄)を決定するために、扶養家族の有無などを申告する書類です。
- 提出の必要性:入社後、最初に提出する最も重要な税務書類です。これを提出しないと、給与計算時に「乙欄」が適用され、税率が高くなり、毎月の手取り額が大幅に減少します(確定申告で精算は可能)。
- 注意点:この申告書は、主たる給与の支払者である1社にしか提出できません。複数の会社で働いている場合、副業先では提出せず、税率の高い「乙欄」が適用されることになります。
企業により提出を求められる可能性が高い書類(健康診断書、卒業証明書など)
以下の書類は、法律で提出が義務付けられているわけではありませんが、企業の規則や慣習、職種によって提出を求められることが非常に多い書類です。企業から指定された場合は、速やかに準備しましょう。
| 書類名 | 提出を求められる理由と提出先 | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 健康診断書 | 労働安全衛生法に基づき、会社は入社時に健康診断を実施または結果を確認する義務があります。 | 直近1年以内に受診したものがあれば代用可能です。ない場合は、入社後会社が指定する医療機関で受診するか、自身で受診する必要があります(費用は会社負担が多い)。 |
| 住民票記載事項証明書 | 住所、氏名、生年月日などを正確に把握し、身元確認を行うため。 | 住民票そのものではなく、役所で発行してもらう「住民票記載事項証明書」(会社が指定した事項のみ記載)の提出を求められることが多いです。 |
| 身元保証書 | 業務上損害を与えた場合の賠償責任を担保するため(特に役職者や機密情報を扱う場合)。 | 連帯保証人(親族や友人など)に署名・押印してもらう必要があるため、**時間的余裕を持って依頼**する必要があります。 |
| 卒業証明書/成績証明書 | 応募書類に記載された学歴の事実確認を行うため。 | 最終学歴の学校の事務室に申請して発行してもらいます。卒業から時間が経っている場合は、発行に1週間〜10日程度かかることがあるため、早めの申請が必要です。 |
| 給与振込先届出書 | 給与や経費を振り込むための口座情報把握のため。 | 通帳のコピー(支店名、口座番号が分かるページ)やキャッシュカードのコピーを添えて提出するのが一般的です。 |
退職時に前職から受け取るべき書類と返却すべき書類のチェックリスト
入社手続きをスムーズに進めるためには、前職との間で書類の受け渡しを完璧に行うことが欠かせません。退職時に「受け取るべき書類」と「返却すべき書類」を一覧で確認し、漏れがないかチェックしましょう。
【重要】前職から「受け取る」べき書類チェックリスト
これらの書類は、転職先での手続きや、あなた自身の公的手続きに必要になります。すべて受け取れているか確認しましょう。
- ✅ 給与所得の源泉徴収票(最重要。転職先での年末調整用)
- ✅ 雇用保険被保険者証(転職先での雇用保険加入手続き用)
- ✅ 年金手帳(または基礎年金番号通知書)
- ✅ 離職票(すぐに転職する場合は不要なことが多いが、万が一のために受領・保管が望ましい。※失業手当受給時に必須)
- ✅ 健康保険資格喪失証明書(※退職時に国民健康保険や任意継続に切り替える場合のみ必要)
- ✅ 退職所得の源泉徴収票(退職金が支給された場合のみ)
【重要】前職に「返却する」べき書類チェックリスト
これらの書類は会社の所有物であり、紛失・返却漏れは会社とのトラブルの原因となります。最終出社日までに準備を完了させてください。
- ✅ 健康保険証(扶養家族のものも含む)
- ✅ 社員証、入館証、名刺
- ✅ 社給PC、スマートフォン、タブレットなどの情報機器
- ✅ 会社の備品、業務マニュアル、重要書類の原本・コピー
- ✅ 通勤定期券(会社負担で購入した場合)
入社時の書類手続きは、新しい環境で働くための最初のハードルです。源泉徴収票の件と合わせて、これらの書類を事前に完璧に揃えておくことで、安心して新しいキャリアをスタートさせることができます。
転職時の源泉徴収票に関するQ&Aとよくあるトラブル事例
ここまでで、源泉徴収票の提出が遅れた場合の対処法や、紛失・再発行の手順を解説してきました。しかし、実際に転職手続きを進める中で、細かな疑問点や特殊な状況に直面することは少なくありません。ここでは、読者の方が抱きやすい**源泉徴収票に関する具体的なQ&Aと、それに伴うトラブル事例**、そしてその解決策について、専門的な視点から深掘りして解説します。
再発行に回数制限はあるか?アルバイト・パートでも必要か?
源泉徴収票の「再発行の可否」や「必要となる雇用形態」については、誤解や不安を抱く方が多いため、正しい知識を身につけておきましょう。
再発行に回数制限は「一切ない」
結論から申し上げると、源泉徴収票の再発行に回数制限は一切ありません。
【法的義務】
源泉徴収義務者(会社)は、税法に基づき、退職者や年末調整の対象者から交付を求められた場合、その書類を交付する義務があります(所得税法第226条)。
この義務は、過去に何回発行したかに関わらず、何度でも発生します。ただし、会社側にとっては都度、手間がかかる業務であるため、何度も依頼することで関係性が悪化したり、対応が後回しにされたりするリスクはあります。そのため、再発行を依頼する際は、丁寧な依頼文を作成し、送付先住所を明確に伝えるなど、会社側の手間を最小限に抑える配慮が必要です。
【トラブル事例と注意点】
ごく稀に「再発行は有料」「3回目以降は対応できない」などと企業独自のルールを設けている会社がありますが、これは**法的には認められません**。もし再発行を不当に拒否されたり、高額な手数料を求められたりした場合は、前述の通り管轄の税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで解決できます。
アルバイト・パートでも「原則として必要」
「正社員ではないから源泉徴収票は不要」と考える方もいますが、これは間違いです。
- 必要性の原則:源泉徴収票は、**「給与所得」を得たすべての人**に発行されるべき書類です。アルバイト、パート、派遣社員、契約社員といった雇用形態に関係なく、給与が支払われ、そこから所得税が源泉徴収されていれば、交付対象となります。
- 提出の必要性:あなたが年内に他の勤務先(転職先)で年末調整を受ける場合、**前職のアルバイトやパート先の源泉徴収票も合算して提出することが必須**となります。これは、全ての給与所得を合算して税金を精算する必要があるためです。
ただし、給与所得が**年間103万円以下**の場合、所得税が課税されないため源泉徴収税額がゼロである可能性が高いです。この場合でも、転職先の会社が全年の給与総額を把握するために提出を求めるのが一般的です。
前職が倒産してしまった場合や社名変更した場合の再発行依頼先
前職がすでに存在しない、あるいは名前が変わってしまっているといった特殊なケースは、書類の再発行を困難にしますが、対処法は存在します。
1. 前職が倒産・廃業した場合
会社が倒産(破産・清算手続き中)してしまった場合でも、源泉徴収票の発行元は残っています。対応する窓口は、会社の状況によって変わります。
- ✅ 清算手続き中の場合
- 連絡先:破産管財人、清算人、または会社の顧問税理士・弁護士。
手続き:裁判所が選任した破産管財人(弁護士)が会社の資産管理や清算業務を行っています。管財人は倒産企業の税務書類(給与台帳など)も引き継いでいるため、連絡すれば源泉徴収票の発行に対応してもらえます。
- ✅ すでに完全に廃業し、連絡先不明の場合
- 連絡先:**退職時の前職の所在地を管轄する税務署**。
手続き:前職の税務署に相談し、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。税務署が会社の過去の税務記録を調査し、源泉徴収票の内容に近い情報を提供してくれたり、適切な対処法を案内してくれたりします。倒産・廃業の場合、税務署への相談が最も確実な最終手段となります。
2. 前職がM&Aや社名変更をした場合
会社が別の企業に買収されたり、社名を変更したりした場合、再発行の依頼は比較的スムーズに行えます。
- ✅ M&A(合併・買収)があった場合
- 連絡先:**存続会社(買収した側)の人事・経理部門**。
手続き:給与計算業務や過去の従業員データは、通常、買収した会社に引き継がれています。「旧社名〇〇株式会社の元社員である」旨を伝え、現社名と旧社名を併記して依頼しましょう。倒産とは異なり、組織は存続しているため、再発行は難しくありません。
- ✅ 社名のみが変更された場合
- 連絡先:**現社名の人事・経理部門**。
手続き:会社自体はそのまま存続しています。通常の再発行依頼と同様に、現社名宛に連絡し、旧社名と在籍期間を明確に伝えれば、速やかに対応してもらえます。
源泉徴収票を「電子交付」された場合の転職先への提出方法
近年、多くの企業でペーパーレス化が進み、源泉徴収票が紙ではなくPDFなどの電子データで交付されるケースが増えています。電子交付された源泉徴収票は、転職先への提出方法に注意が必要です。
電子交付された源泉徴収票の取り扱い原則
源泉徴収票が電子データ(PDFなど)で交付された場合、そのデータは税法上、**紙の源泉徴収票と同等の効力**を持ちます。
ただし、転職先の企業がどのような形式での提出を求めているかによって対応が変わります。
| 転職先の要求 | 対応方法と注意点 |
|---|---|
| 紙での提出を求められた場合 | ✅ PDFファイルを自分で印刷して提出する。
印刷した源泉徴収票の紙面には、電子交付された旨を示す表記(「電磁的方法による交付」など)が記載されていることが一般的です。提出前に、記載内容に抜けや文字化けがないか確認しましょう。 |
| 電子データ(メール添付など)を求められた場合 | ✅ 転職先から指定されたファイル形式(PDFなど)でメールに添付して提出する。
セキュリティ上の理由から、**パスワード付きZIPファイル**など、安全な形式での提出を求められる場合があります。また、企業によっては「電子証明書」や「電子署名」の有無を確認する場合がありますが、通常はPDFのままで問題ありません。 |
電子交付を受けた際の3つの注意点
電子データは便利ですが、取り扱いには以下の点に注意してください。
- パスワードの管理:電子交付されたPDFには、セキュリティのためにパスワードが設定されていることが多いです。パスワードを忘れると開けなくなるため、会社から送られてきたメールや文書を大切に保管しましょう。
- 印刷環境の確保:転職先が紙での提出を原則としている場合、あなたが自分で印刷しなければなりません。自宅に印刷機がない場合は、コンビニのプリントサービスなどを利用する必要があります。
- 原本不要の確認:電子交付の場合、会社側は「紙の原本」を発行していません。そのため、「原本を提出してください」と求められた場合は、「電子交付なので印刷したもので問題ないか」を**必ず人事に確認**してください。電子交付された書類の印刷物で問題ないとする企業がほとんどです。
電子交付は今後の主流になっていくと考えられますが、転職先の経理・人事部門の対応状況に応じて、柔軟に印刷やデータ送付の対応を行うことが、手続きを円滑に進めるための鍵となります。
まとめ:源泉徴収票は「退職後すぐ」の確認が鉄則
この記事では、転職時の源泉徴収票に関するすべての疑問—提出の重要性、受け取りのタイミング、紛失・未受領時の対処法、そしてトラブル事例まで—を網羅的に解説してきました。源泉徴収票は、単なる手続き上の書類ではなく、あなたの納税義務を正しく完了させ、税金の払い過ぎを防ぐための最重要書類です。
スムーズな転職を実現し、新しい会社でのスタートに集中するためには、「退職後すぐ」に源泉徴収票に関する行動を完了させることが鉄則となります。最後に、これまでの内容を実践するための行動チェックリストと、最終的なアドバイスをまとめます。
転職をスムーズに進めるための源泉徴収票チェックリスト ✅
源泉徴収票に関連する手続きの遅延は、転職活動全体の遅延、ひいては手取りの減少につながります。以下のチェックリストを活用し、確実にタスクを完了させましょう。
【フェーズ1:退職決定時・最終出社日まで】
- ✅ 前職の担当部署(人事・経理など)に連絡先と担当者名を確認しましたか?(トラブル時の連絡窓口を確保)
- ✅ 退職時に、源泉徴収票の「発行予定日」と「送付先住所」(特に転居予定がある場合)を明確に伝え、記録に残しましたか?
- ✅ 雇用保険被保険者証や年金手帳など、前職から受け取るべき重要書類の受け渡し方法を確認しましたか?
【フェーズ2:転職先への入社手続き時】
- ✅ 前職の源泉徴収票を「退職後1ヶ月以内」に受け取り、記載内容(氏名、年収、源泉徴収税額など)に誤りがないか確認しましたか?
- ✅ 転職先の年末調整期限(目安:11月上旬)を確認し、期限に間に合うよう源泉徴収票を提出する計画を立てましたか?
- ✅ 12月入社など期限がタイトな場合、**転職先に「確定申告を希望する」**旨を伝えて、提出義務から外れる相談をしましたか?
【フェーズ3:紛失・未受領・トラブル発生時】
- ✅ 源泉徴収票が手元にない場合、すぐに前職の**人事・経理部門に再発行を依頼**し、依頼内容をメールなどで記録しましたか?
- ✅ 再発行が遅延する場合、転職先にその旨を伝え、**給与明細書のコピーなどで一時的な代替提出**を交渉しましたか?
- ✅ 前職が再発行を不当に拒否した場合、管轄の税務署に相談し、「源泉徴収票不交付の届出書」の提出準備を行いましたか?
入社手続きを滞りなく進めるための最終アドバイス
源泉徴収票の手続きは、一度滞ると、その後の年末調整や確定申告、さらには翌年の住民税にまで影響が及びます。専門家として、読者の方が確実に手続きを完了させるための、最後の重要なアドバイスをお伝えします。
1. 完璧な書類管理は「転職成功」の第一歩
新しい会社は、入社時の手続き対応を見ることで、あなたの「危機管理能力」と「プロとしての事務処理能力」を無意識のうちに評価しています。源泉徴収票を含む提出書類を完璧に揃えることは、「この人は細部まで気を配れる人材だ」というポジティブな印象を与えることにつながります。紛失を防ぐため、受領した源泉徴収票はすぐにスキャンまたは写真でデータ化し、クラウド上に保管しておくことを強く推奨します。
2. 「遅れるより、早めの相談」が基本原則
提出が遅れそうだとわかった時点で、**転職先の**人事・経理部門にすぐに相談してください。「間に合わないかもしれない」という曖昧な報告ではなく、「前職の都合で発行が〇月〇日になりそうです。年末調整に間に合わせるための代替手段はありますか?」と、具体的な状況と解決策の提案をセットで行うと、会社側も協力的になりやすいです。
3. 年末調整と確定申告の「二択」を理解する
源泉徴収票が手に入らない、あるいは提出期限に間に合わない場合、「税金の清算を諦める」という選択肢はありません。必ず**「現職での年末調整」**か、**「自分で翌年に確定申告」**のいずれかを行うことになります。
- 年末調整:**会社任せ**で手間がかからないが、前職の源泉徴収票の**提出が必須**。
- 確定申告:**自分で手続き**する手間がかかるが、源泉徴収票を**会社に提出しなくて済む**(年収を知られなくて済む)。
自分の状況に合わせて、どちらの手段を取るかを早めに決め、必要な書類(源泉徴収票はどちらのケースでも必須)の準備を進めましょう。
読者へのメッセージと関連情報の紹介
慣れない書類手続きはストレスですが、この記事で提供した知識があれば、もう迷うことはありません。源泉徴収票の問題をクリアし、晴れやかな気持ちで新しいキャリアをスタートさせてください。
合わせて確認すべき関連情報
源泉徴収票の手続きが完了したら、次に以下の書類についても確認し、入社手続きを万全にしましょう。
- ▶️ **入社時手続きの完全ガイド**:源泉徴収票以外に必須の「年金手帳」「雇用保険被保険者証」「扶養控除申告書」の紛失・再発行方法と提出期限。
- ▶️ **確定申告の全手順**:国税庁の作成コーナーを使った確定申告書の具体的な記入方法とe-Taxによる提出方法。
- ▶️ **住民税の手続き**:退職後の住民税の支払い方法(普通徴収または特別徴収継続)と、転職先への連絡事項。
新しい職場でのご活躍を心より応援しています!
よくある質問(FAQ)
前職の源泉徴収票は退職後いつ頃もらえますか?
法律上、源泉徴収票は退職の日から1ヵ月以内に交付することが義務付けられています。実務上は、最後の給与や賞与の支払いが確定した後に作成されるため、最終給与が振り込まれた後、前職の住所宛てに郵送されるのが一般的です。新しい会社への提出期限に間に合うよう、退職時に送付予定日を必ず前職の人事・経理部門に確認しましょう。
源泉徴収票を紛失した場合、再発行は可能ですか?
はい、何度でも再発行が可能です。会社(源泉徴収義務者)は、退職者からの求めに応じて源泉徴収票を交付する法的義務(所得税法第226条)があります。再発行は、前職の人事部、労務・総務部、または経理部に連絡して依頼します。もし会社が不当に再発行を拒否したり、連絡を避けていたりする場合は、管轄の税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出して指導を促すことができます。
転職先へ源泉徴収票の提出が間に合わない場合はどうすれば良いですか?
提出が転職先の年末調整の期限(目安として11月上旬)に間に合わない場合や、間に合わないと判断された場合は、**自分で「確定申告」を行う**ことで対応できます。
- 転職先の会社には「今年は自分で確定申告を行います」と伝え、年末調整の対象から外してもらいます。
- **翌年2月16日~3月15日**の間に、前職と現職の2枚の源泉徴収票を使って、自分で税務署に確定申告書を提出し、税金の精算を完了させます。
ただし、確定申告を行う場合でも、前職の源泉徴収票自体は必須となるため、必ず再発行手続きなどで入手しておく必要があります。
転職の入社時に必要な書類には、源泉徴収票の他に何がありますか?
源泉徴収票の他に、社会保険や税金の手続き上、提出が法定で必須とされている主な書類は以下の通りです。
- 年金手帳(または基礎年金番号通知書):厚生年金加入手続きに必要です。
- 雇用保険被保険者証:前職で加入していたことを証明し、転職先での加入手続きに必要です。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:毎月の給与から控除する所得税額を決めるために、入社時に最も重要な税務書類です。
この他に、企業によっては健康診断書、住民票記載事項証明書、卒業証明書などの提出も求められることがありますので、入社時に提示された書類リストを必ず確認してください。
まとめ:転職時の不安を解消!源泉徴収票は「事前準備」と「即時対応」が鍵🔑
この記事では、転職時の源泉徴収票に関するあらゆる疑問と不安を解消するための完全ガイドを提供しました。この書類は、単に前職の給与を証明するだけでなく、あなたの正しい納税と還付金を受け取るための最重要書類です。
✅ 最重要ポイントのクイック・チェックリスト
手続きをスムーズに進めるために、特に重要だった点を再確認しましょう。
- 提出の目的: 転職先が年末調整であなたの年間の総収入と税金を正しく精算するために必須です。
- 受け取り期限: 前職には退職後1ヶ月以内の交付義務があります。最後の給与が確定した後に郵送されるのが一般的です。
- 提出期限: 転職先の年末調整が始まる11月上旬までが目安です。入社後すぐに提出準備をしましょう。
- 紛失・未受領時の対処: 慌てずに前職の人事・経理部門に再発行を依頼してください。再発行に回数制限や費用はかかりません。
- 最終手段: 提出が間に合わない、または前職との接触を避けたい場合は、翌年2月16日〜3月15日に自分自身で確定申告を行うことで代替できます。
💡 行動喚起:書類の不安を解消し、新しい一歩を踏み出しましょう!
源泉徴収票の手続きの遅延は、あなたの手取りの減少や行政手続きの遅延に直結します。「後回し」は絶対に避け、今すぐ行動を起こしましょう。
🚀 あなたが次に取るべき具体的なアクション
- 【手元にない場合】 今すぐ前職の人事・経理部門に連絡し、メールなど記録が残る形で再発行を依頼してください。
- 【提出がタイトな場合】 転職先の担当者に、具体的な発行予定日を伝えた上で、代替手段(給与明細書の提出など)について早めに相談しましょう。
- 【年収を知られたくない場合】 転職先に「今年は確定申告を行います」と明確に伝え、年末調整の対象から外してもらいましょう。
完璧な書類手続きは、新しい職場でのあなたのプロ意識を示す最初のチャンスです。この記事を参考に、自信を持ってすべてのタスクを完了させ、晴れやかな気持ちで新しいキャリアをスタートさせてください!


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